追憶碓氷峠 4

タビ

姨捨駅(おばすて)スイッチバックの記憶がある。普通列車だけがめんどくさそうに、わざわざバックして駅に止まる。それもやけにのろい。窓の外ではミンミンゼミが鳴いている。車両がいったん止まるから遮断器は鳴りっぱなしだ。ただでさえ遅い「各駅停車の長野行」なのに、ここで大幅に時間をロスしてしまう。

もちろん「特急しなの」は、その横を爆音とともに通過して見向きもしない。こどもながらに、「また、ここか」「めんどくさい駅だなあ」と、来るたびに何度思ったことか。案の定、松本―長野間ノンストップの「特急しなの」が、所要時間50分なのに対して、各駅停車は1時間30分を要するのだ。

しかし、実は篠ノ井線の 姨捨駅 は、日本の鉄道史山岳鉄道技術が凝縮された“生きた博物館”なのだ。しかも単なるスイッチバック駅ではない。ここは、①急勾配を克服する技術 ②蒸気機関車時代の苦闘 ③日本三大車窓の絶景 ④観光資源としての保存  これら全部が一体化した、全国屈指の名駅なのである。

そもそも「スイッチバック」とはなにか?普通の鉄道は、前へ前へと一直線に走る。しかし山岳地帯では、勾配が急すぎてそのまま登れないことがあるのだ。そこで列車はいったん停止し、進行方向を変えながらジグザグに登る。これが「スイッチバック」だ。

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