追憶碓氷峠 23

タビ

次は最後の砦「③電磁吸着ブレーキ」について記す。 この電磁吸着ブレーキこそが、EF63を有名にした装置だ。碓氷峠66.7‰では、通常の車輪ブレーキだけでは不十分と判断され、レールに強力な磁石を押し付ける方式が採用された。EF63のそれぞれの台車枠の車輪との間に、計4基装備されたのだ。

正式名称では電磁吸着ブレーキと呼ばれる。仕組み自体は意外と単純である。車体の台車下に巨大な電磁石があり、①電流を流す ②電磁石がレールに吸い付く ③強力な摩擦力が発生する ④列車が減速する という流れになる。鉄軌道ならではの、磁石の力を応用したものである。

すなわち、EF63の車体をレールへ直接押し付けて、制動力を得るという感覚になる。それは、果たしてどれくらい強力だったのか? EF63電磁吸着ブレーキは、4台車それぞれに装備され、1基あたり約5~7t程度の吸着力を持っていた。EF63全体で、計20t~28tの程度の下向き吸着力が発生したと考えられる。

このため、雨・雪・落葉などで、車輪が空転しやすい状況でも安定した制動力を発揮することが出来た。車輪とレールとの粘着力だけに頼らないことが、最大の利点だった。電磁ブレーキ動作時には、EF63の自重108tに加え28t、合計136tでレールに車体を押し付けたわけである。

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