追憶碓氷峠 42

タビ

私は温かいエチオピアコーヒーを注文。いくつものトンネルを超えるたびに、突然変わる外の風景を、眺めながら味わう一杯は格別だった。そして長いはずのトンネルも、あっという間に抜けた。これは旅の満足感を、さらに高めてくれた。飲み物はおかわりもできるため、時間を忘れてゆったり過ごすことが出来る。

車内は驚くほど静かで、時速260kmで走っていることを忘れてしまうほど。振動も少なく、本を読んだり、景色を眺めたり、ただ何もしないという贅沢を味わうことも出来る。窓の外には関東平野から上州、そして雄大な浅間山信州の山々へと景色が移り変わる。この風景さえも、上質なサービスの一部となった。

東京〜長野間は約1時間20分。決して長い乗車時間ではないが、「もう着いてしまうのか」と感じた新幹線は初めてだった。グランクラスは決して安い座席ではない。しかし、その料金で手に入るのは、広いシートだけではなく、静かな空間、心配りの行き届いた接客、美味しい軽食と飲み物だ。

そして移動時間そのものを楽しむという贅沢な体験にある。目的地に到着したとき、身体には疲れではなく心地よい余韻が残っていた。「またこの座席に乗るために旅へ出かけたい」──そう思わせてくれるグランクラスAは、日本の鉄道が誇る最高のおもてなしの一つだと感じた。

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