追憶碓氷峠 22

タビ

そのため、ブレーキシューは車輪とは異なる材料で作られている。当時、国鉄の機関車や客車では主に、鋳鉄(ちゅうてつ)制輪子が使われていた。鋳鉄とは、見た目は黒っぽい鉄の塊だ。その特徴は、①適度な摩擦力 ②加工しやすい ③安価 などである。

でも、なぜ鋳鉄なのか? 鋳鉄も金属ではあるのだが、面白い性質を持つのだ。それは、ブレーキをかけると少しずつ削れていくことだ。つまり、車輪はなるべく守る、ブレーキシューは消耗品という考え方である。高価な車輪ではなく、安いシューを交換するのだ。

それでは、ブレーキをかけると何が起きるか?強くブレーキをかけると、鋳鉄シューが削れて、鉄粉・摩耗粉が発生する。昔の客車列車の車輪周辺が、黒く汚れていたのはこのためである。では雨の日はどうなるのか?実は鋳鉄シューには利点があるのだ。それは、車輪が濡れていても、最初に軽く擦ることで水膜を取り除く作用があることだ。そのため昔の鉄道では重宝された。

ちなみに、長い下り坂のあとに機関区へ入ったEF63の車輪を見ると、鋳鉄シューで磨かれた踏面が銀色に光っていたそうである。鉄道マンたちはその状態を見るだけで、ブレーキの調子をある程度判断できたと言われている。現在では、鋳鉄ではなく 焼結合金・レジン系複合材・ディスクブレーキ用パッド が多く使われている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました