追憶碓氷峠 52

タビ

それでは、全体的にみて長野新幹線は黒字なのか、赤字なのか? JR側の経済効果について見て行く。「EF63時代」に必要だったものは ①EF63機関車 ②横川・軽井沢基地 ③連結作業員 ④機関車保守 ⑤急勾配対応設備 など。つまり、「峠を越えるための特別コスト」が非常に大きかったのだ。

「新幹線時代」に、これらは不要となった。しかし、新たに ① 高性能電車 ② 高速運転 ③高頻度運転 ④少ない乗務員での運航 が必要とされた。しかし、単純にこれだけで比較するわけにはいかない。新幹線は建設費が巨大だったのだ。北陸新幹線 高崎~長野間の建設費は、なんと8,282億円だった。

長野新幹線の建設にともない、特に碓氷峠長大トンネル・高架橋・新駅設備などへ、多額の費用がかかった。つまり、「短期的には巨額投資、長期的には地域経済を変えるインフラ」という分析になる。鉄道経済の視点から見ると、長野新幹線は単なる「速い列車への置換」ではない。

「東京1時間20分圏に長野を組み込んだプロジェクト」と言える。その結果、両都市間での「日帰りビジネス」を可能にしたのだ。特に面白いのは、EF63が「峠と戦う技術」の最高傑作だったのに対し、E7系は「峠そのものを避け、需要を増やして投資を回収する技術」になった点である。

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