メグロのオートバイ登場 1

コキョウ

それが初めて登場したのは、昭和初期蟻ケ崎にある県営アパートの前だ。そのころクスリ漬け年金生活者は、約3㎞離れたバプテストいずみ園に通っていた。当初はいずみ園まで500mの至近距離であったが、御徒町から蟻ケ崎転居したことが原因で遠くなってしもうた。今さら転園する気もない。

道程にも慣れてきたころ、市道1223号線をはさんで、向かいの県営アパートに住む木藤さんが、初対面ながらもマッマを訪ねて来たのだ。どこで聞きつけたのか、「娘のあけみも同じ園なのでいっしょに通園してほしい」との依頼だった。なんとマッマ笑顔で二つ返事でOKしてしまったではないか。

私の了解もなく、迷惑な話だ。それからたいへんな日々が始まった。これにはウラがあったのである。なんとあけみちゃんは、登園拒否児の一人だったのだ。それをなんと無慈悲にも、なんの罪もない私に押し付けたのだ。毎日県営アパート3階まで迎えに行く。もちろん階段だ。だから早く起きなくてはいけない。

それにいつも待たされる。迎えに来てから準備を始めるみたいだ。時には「行きたくない。」と駄々をこねているのが聞こえる。「あーこれはだめだ、完全に遅れてしまう。」時計こそないが、テレビ番組の音声がいつもよりかなり先まで進んでいて、初めて聞く場面にまで行ってしまっている。

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