追憶 碓氷峠 68

タビ

旧丸山変電所では、いったい何をしていたのか? 鉄道会社が外部から受け取った電気は、そのまま電気機関車に送れるわけではなかったのだ。送電網では、送電ロスの少ない交流として、電力が供給される。しかし、当時の電気機関車は直流モーターを使用していた。

特に、急こう配の碓氷峠では強大なトルクを必要とし、当時の交流モーターでは無理だったのだ。旧丸山変電所は、送電されて来た交流6,600Vを、直流650Vへ変換していたのだ。つまり、高電圧の交流電力を、碓氷峠の電気機関車が使える直流電力に変換する施設である。

しかも、現代のような半導体式の整流器ではないのだ。ごう音とどろく、回転式変流器を使うものだった。軽井沢側の機械室には、ものすごい機械が入っていた。450kWの回転変流機 × 2基 と 500kVAの変圧器 × 2基 である。電動機と発電機を機械的に組み合わせて、交流を直流に変換するのである。

つまり、1910年代の電気鉄道では、巨大な回転機械が「交流→直流」の変換を担っていたわけだ。今の感覚からすると、「そんな巨大な機械で電気を変換していたのか!」と驚くレベルである。2基を交互に24時間稼働していたという。凄まじい音と振動が、建屋全体を揺らしていたという。

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