この「長野新幹線」の実際の評価はもっと複雑である。新幹線は単なる列車事業ではない。その効果として、JR側は、①運転本数増加 ②高単価の新幹線料金 ③車両効率向上 ④保守費削減 ⑤乗務員効率化 を得ることが出来た。そして地域側では、①長野への観光客増加 ②東京企業との日帰り交流
③軽井沢地価上昇 ④ホテル・飲食業増加 ⑤長野オリンピック対応 などが可能となった。つまり本当の投資効果は、「JRの切符収入だけ」では測れないのだ。ここまで、「明」の部分だけに焦点を当てて来たが、その陰で犠牲になったものはなかったのか?
そこで、次に分析すると面白いのは、「長野新幹線開業でJR東日本は、廃止した信越本線(横川~軽井沢)を含めて本当に得をしたのか?(経営的勝敗)」という視点である。これは鉄道経営史でも、非常に興味深いテーマとなっている。結論から言うと、JR東日本は「鉄道事業としては大きく得をした」
しかし、「地域交通会社として見ると、大きな負担と引き換えだった」というのが実態である。特に横川~軽井沢間(11.2km)の廃止は、JR東日本にとって、「赤字路線を切った」という単純な話ではなかったのだ。それは、「地域輸送網の分断」そのものだったからである。これが最大の問題だった。


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