追憶碓氷峠 26

タビ

反対に軽井沢からの、横川向け下りの車両編成はどうだろう。下りでは事情が全く異なる。66.7‰の急勾配では列車は、重力でどんどん加速しようとする。そこでEF632両を列車の先頭に連結し、強力な発電ブレーキ・空気ブレーキ・電磁吸着ブレーキで、列車全体を「減速させる」役目を担ったのである。

もしEF63が最後尾にいた場合、①前の列車、特急「あさま」11両編成、総計450tが坂を下ろうとする ②後ろのEF63がブレーキを掛ける という状態になり、列車に強い引張力が発生してしまう。急カーブの多い碓氷峠では、この引張力によって車両が引っ張り合い、最悪の場合は連結器破断暴走脱線の危険がある。

そこで下りではEF63を先頭にして、①EF63が列車を引っ張りながら下る(実際は、ブレーキをかけて減速しながら下る) ②後ろの客車・電車がついてくる という状態にした。これは貨物列車で、「下り坂では前で抑える方が安全」という考え方と同じである。

一言でいうと、①上り坂:EF63が最後尾から押して登る ②下り坂:EF63が先頭で引き止めながら下る ということである。碓氷峠では特に66.7‰という、日本の粘着式鉄道では極めて急な勾配だったため、単に「力を足す補機」ではなく、「列車の安全を管理する司令塔」として、EF63が運用されていた。

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