追憶碓氷峠5

タビ

しかも姨捨駅が特殊なのは「通過型スイッチバック」として、作られたことだ。姨捨駅の最大の特徴は、「駅そのものが本線上にない」という点である。篠ノ井本線は急勾配の途中を通っているが、姨捨駅ホームをそのまま急勾配上に作ると危険である。そこで、 少し平坦な引き込み線を敷きホームを作ったのだ。

つまり列車は、1.本線を登る  2.いったん駅を通り過ぎる  3.バックしてホームへ入る  4.発車後また前進して本線へ戻る という複雑な動きをする。なぜこんな面倒な構造にしなければならなかったのか?理由はシンプルである。勾配がきつすぎたのだ。

篠ノ井線のこの区間は最大25‰(パーミル)の急勾配。25‰とは、「1000m進むと25m上がる」という意味だ。鉄道ではかなり険しい部類に入る。この勾配は蒸気機関車時代には特に大変で、①空転 ②出力不足 ③ブレーキ問題 ④煙害 など苦労の連続であった。

さらに当時日本最長クラスだった、冠着トンネルも通過せねばならず、機関士で苦しめられた。さらに、この25‰の上り坂でいったん列車を止めようものなら、そこからの坂道発進は地獄だった。ブレーキを緩解させたとたん、出力不足と車輪の空転から、坂を転げ落ちる危険があったからだ。

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